「ECサイトの導入費用を安くする方法はある?」
ECサイトを導入する際は、サイト制作などの費用がかかります。ECサイトを構築したくても、費用がかかるため断念してしまう方はおられるでしょう。しかし、補助金制度を利用すると費用の軽減が可能です。
この記事では、企業や団体がECサイトを導入する際に利用できる補助金を解説します。ECサイトの導入費用を安くしたい方はぜひ参考にしてみてください。
ECサイトの導入に利用できる補助金とは
補助金とは、国や自治体等が特定の目的や政策を達成するために、事業者や団体に対して経済的な支援を提供する仕組みです。
国や自治体は、新たな雇用の創出や地域経済の活性化のためにECサイトの普及を促進しており、ECサイトを構築する事業者や団体に補助金を交付しています。
中小企業や小規模事業者は補助金制度を利用することで、ECサイトを構築・運用する際の経済的負担が軽減し、ECサイトを構築しやすくなります。
なお、補助金制度を利用するには、どのような補助金があり、どういった場合に補助金を受け取れるのかを知っておくことが必要です。
ECサイトの構築に利用できる補助金の種類と特徴
中小企業や小規模事業者がECサイトを構築・導入する際に利用できる補助金には、以下のようなものがあります。
- 各自治体のIT補助金
- ものづくり補助金
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
中小企業や小規模事業者がECサイトを構築する際は、各自治体のIT補助金やものづくり補助金などを利用できます。ここでは、これらの補助金の特徴を解説します。
各自治体のIT補助金
2023年までは「IT導入補助金2023」で、ECサイト制作は国の補助金の対象になっていました。しかし、2024年にスタートした「IT導入補助金2024」では、ECサイト制作は補助金の対象から外れています。
したがって、国が実施しているIT導入補助金では、ECサイト導入の支援は受けられません。しかし、各自治体では、地域の中小企業・小規模事業者の支援を目的として、IT補助金の制度を実施しているところがあります。
ECサイトの導入を支援する枠を設けている自治体もあり、条件に合致すると補助金を受け取れる可能性があるでしょう。
例えば、東京都中野区では「ECサイト活用補助金」という補助金制度があり、ECサイトの構築にかかる費用の一部を補助しています。補助率は1/10(限度額6万円)です。
千葉県松戸市にも「松戸市中小企業デジタル化チャレンジ補助金」という補助金制度があります。
IT補助金の実施の有無や制度の内容は自治体によって異なるため、詳細については各自治体の窓口やホームページなどで確認してください。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が、新たな製品・サービスの開発や生産の導入、生産プロセスの改善等に取り組む際に、費用の一部を補助する制度です。
ECサイト構築は、新たな販売チャネルの創出や、販路拡大、業務効率化等につながる取り組みとして、ものづくり補助金の対象となります。
補助金の最大金額は750万円〜1,250万円で、補助率は1/2(小規模事業者は2/3)です。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、中小企業・小規模事業者等が、事業再構築に取り組む際に、その取り組み費用の一部を補助する制度です。
「成長枠」はECサイトの構築に利用でき、補助額は最大7,000万円、補助率は1/3~2/3です。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が、経営革新や販路開拓等に取り組む際に、その取り組み費用の一部を補助する制度です。
「通常枠」はECサイトの構築に利用でき、補助額は上限50万円(インボイス特例の要件を満たすと50万円が上乗せ)、補助率は1/4~2/3です。
ECサイトの補助金を受け取るためにするべきこと
ECサイトの補助金を受け取るためには、以下の手順に沿って申請を行う必要があります。
- 補助金の対象となる制度を調べる
- 補助金の申請書類を準備する
- 補助金の審査を受ける
補助金の対象となる制度を調べる
まずは、ECサイトの補助金の対象となる補助金制度を調べます。
制度によって補助対象事業者や補助対象経費、補助率などの条件が異なるため、自社が補助金の対象となるかどうかを事前に確認しておきましょう。
なお、自治体によっては独自のIT補助金を実施している場合があるため、お住まいの自治体の窓口やホームページなどで確認しておきます。
補助金の申請書類を準備する
補助金の申請には、申請書類の提出が必要です。
申請書類には、事業計画書や見積書、領収書などの書類があります。申請書類の提出期限は、制度や自治体によって異なるため注意しましょう。
補助金の審査を受ける
申請書類の提出後、審査が行われます。
審査では、事業計画の実現可能性や、補助金の活用効果などが評価されます。審査の結果、補助金の交付が決定されます。
申請しても審査に合格しないと補助金は受け取れません。確実にECサイトの補助金を受け取るために、中小企業診断士や税理士など補助金制度に精通している専門家に相談されることをおすすめします。
ECサイトの補助金で気をつけるべきポイント
ECサイトの補助金では、以下の点に注意が必要です。
- 事業計画書をしっかりと作成する
- 最新情報をチェックする
- 知識や経験がない場合は専門家に相談する
事業計画書をしっかりと作成する
事業計画は、補助金の交付の可否を判断する上で重要なポイントとなります。
事業計画書には、ECサイトを導入する目的や目標、具体的な取り組み内容などを明確に記載しましょう。
また、補助金の活用効果についても具体的に示す必要があります。
最新情報をチェックする
補助金制度は経済情勢や社会情勢の変化に合わせて、内容が変更されることがあります。また、制度の見直しや新設が行われることもあるため、最新情報をチェックして、自社が対象となる制度や条件が変更されていないかを確認しておきましょう。
例えば、2023年まではECサイトの構築は国のIT導入補助金の対象でしたが、2024年からは対象外になっています。補助金制度は頻繁に内容が変更されるため、最新情報を確認することが大切です。
補助金制度の最新情報は、中小企業庁や自治体のホームページなどで確認できます。
知識や経験がない場合は専門家に相談する
補助金の申請を行い審査に合格するには、一定の知識や経験が必要です。
自社で十分な知識や経験がない場合や、申請書類の作成や審査対策にかける時間がない場合などは、専門家に相談することをおすすめします。
特にものづくり補助金や事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金は内容が非常に複雑で、わかりにくくなっています。
中小企業診断士や行政書士、税理士、弁護士などが補助金の専門家です。商工会議所でも相談できます。
まとめ
企業や団体がECサイトを導入する際は、ものづくり補助金や事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金などを利用できます。国のIT導入補助金は、2024年からはECサイトの導入は対象外になっていますが、自治体のIT補助金は利用できる可能性があります。
補助金制度は内容が頻繁に変わるため、最新情報をチェックすることが大切です。この記事は2024年1月1日時点のものであり、中小企業庁や自治体などのホームページで必ず最新情報をチェックしてください。
なお、補助金は申請すると必ず支給されるわけではありません。適正な申請書類を提出して、審査に合格すると所定の補助金が支給されます。
補助金制度は非常に複雑でわかりにくくなっており、審査に合格するためにも、中小企業診断士や行政書士などの専門家に相談するることをおすすめします。