Webサイトは企業にとって重要な存在ですが、ホームページ制作にはさまざまな作業が必要であり、工数やコストがかかります。Webサイトの制作を依頼する際、適切な見積もりを得ることは非常に重要です。適切な見積もりを得られないと、予期せぬ追加費用が発生したり、サイトの品質が低下したり、あるいは余計な確認作業に対応する可能性があります。本記事では、Webサイト制作の見積もりの項目や決まり方、さらに適切な見積もりを得るためのポイントなどを詳しく解説していきます。
Web制作で依頼する場合の見積書の項目
Web制作の見積項目はおおよそ次のようにわかれています。詳細はWeb制作会社や作成するWebサイトによって異なります。あくまで一般的な項目として考えてください。
進行管理費
制作プロジェクトの進捗管理や、クライアントとの調整、報告などに要する工数と費用が計上されます。この工程はWebディレクターが担当し、全体のスケジュール管理や品質チェックなど、広い範囲に対して責任を持ちます。
金額の目安は全体の制作費の10%〜30%程度といわれています。ちなみにこの項目を削ると、スケジュールを含めた品質を確保できなくなる可能性がありますので、注意してください。
企画費
Webサイトの目的や設計、コンセプトなどを検討する工程に要する費用です。Webサイトはただやみくもに作っても、ユーザーが訪れなかったり、訪れたとしても読みづらいとすぐに離脱されてしまいます。
そうならないために、次のような内容を検討します。
- Webサイト制作の目的:資料ダウンロード、注文など
- 目標・KPI:月間ダウンロード数、月間成約数など
- テーマ:◯◯な人に向けた□□(商品)など
- ターゲット:◯◯代女性、都市部に住む、独身、高学歴など
- コンセプト:日々の喧騒からの解放など
- 市場調査や競合調査:類似サービスの展開状況、潜在ニーズなど
サイト設計費
ページ構造、画面遷移、機能設計など、サイトの基本設計に関わる工数と費用が計上されます。企画段階で検討した内容を、具体的にWebサイトに落とし込むために構造を検討します。
環境構築費
ドメイン取得やレンタルサーバーの利用料、SSLの費用などが含まれます。WebサイトはHTMLやCSSで作るだけでは動きません。Webサイト上にデータを保管する場所であるサーバーや、Webサイト上の住所を示す「ドメイン」がないと、公開できないのです。また、セキュリティ上の安全確保のため、通信を暗号化するSSLも必要です。
デザイン費
視覚デザインの制作、UIデザインなどに要する工数と費用が計上されます。Webサイトの全体的な印象や、使い勝手を決めるのがデザインの工程です。ただ見た目がよいだけでなく、ユーザーが使いやすいように考えてデザインするため、一定の費用がかかります。
コーディング費
HTML、CSS、JavaScriptなどによるサイトの実装に関わる工数と費用です。デザインされたWebサイトを正確に表現するにはコーディング(デザインをコード化すること)が必要です。たとえば、クリックできるボタンにカーソルを乗せると色が変わる、リンクをクリックするとそのWebページに移動するなど、一つひとつのデザインや動作を実装するためにコードが必要なのです。
素材費(写真・イラスト・図解・動画など)
サイト制作に必要な画像素材の購入費用が含まれます。写真を撮るにはフォトグラファーが必要です。扱う商品によってはスタイリストやモデルが必要になる場合もあります。イラストはフリー素材を使わない限り、イラストレーターに描いてもらう必要があり、図解も作ってもらう必要があります。
また、近年ではWebサイトにショート動画を載せることも多いでしょう。その場合は、動画の撮影や編集、内容によっては脚本制作やロケも必要になります。
SEO対策
SEOとはSearch Engine Optimizationのことをいい、要するにGoogleなどの検索エンジンで検索されたとき、上位に表示されるための施策です。
言葉で表現すると簡単ですが、Googleをはじめとする検索エンジンのアルゴリズムは公開されていません。そのため、アルゴリズムを予測してSEO対策をするしかないのです。また、アルゴリズムは細かく変化するといわれています。そのため、最新の動向をキャッチアップしているWeb制作会社を選ぶとよいでしょう。
保守・運用費
サイトの運用保守、セキュリティ管理、コンテンツ更新などに関わる費用が含まれます。Webサイトは一度作れば終わりではなく、運用上のトラブル解決やセキュリティ向上など公開後のメンテナンスも必要です。
Web制作の見積もりの決まり方を解説
各工程・各工数の合計を計算
制作に必要な工程ごとの工数を積み上げ、それぞれの工数に単価を乗じて合計額を出す方式です。
メリットとして、以下の事柄が挙げられます。
- 制作に必要な工数を詳細に把握できる
- 工程ごとの進捗管理が容易
デメリットとして、以下の事柄が挙げられます。
- 工数の見積もりが難しく、過大見積になりやすい
- 全体像が見えづらい
ページ単位で制作費を計算
サイトのページ数や機能に応じて、一律の制作費用を設定する方式です。
メリットとして、以下の事柄が挙げられます。
- 全体像が把握しやすい
- 見積作成が比較的簡単
デメリットとして、以下の事柄が挙げられます。
- ページ数や機能の違いが反映されにくい
- 詳細な工数管理が難しい
Web制作の依頼の相場は?
シンプルな小規模サイトや中規模サイト:15万円〜50万円
LP(ランディングページ)やブログサイトなど、比較的シンプルな構造のサイトが該当します。
企業情報が充実している大規模サイト:50万円〜150万円
製造業や金融、IT企業などの、製品情報や会社情報が充実した大規模サイトが相当します。
コーポレートサイトのリニューアルやオリジナリティのあるサイト:150万円〜500万円
企業ブランディングを強化したデザイン性の高いサイトや、独自機能の開発が必要なサイトが含まれます。
ただし、サイトの内容や制作会社の実績、納期の緩急などによって、大きく変動することにも留意が必要です。
Web制作を依頼するときの見積もりを抑えるポイント
Webサイト制作の見積もりを抑えるためのポイントは以下の通りです。
①目的と仕様を明確にする
②コンテンツや仕様の優先順位を決める
必須機能と任意機能を区別し、優先順位をつけることで、段階的な開発が可能になります。
③最大限出せる予算を明確にする
事前に予算上限を示すことで、制作会社が適切な提案をしてくれます。
④納期を明確に設定する
無理のない納期設定をすることで、無駄な工数を抑えられます。
まとめ
Webサイト制作の見積もりには、進行管理費、企画費、サイト設計費、環境構築費、デザイン費、コーディング費、素材費、SEO対策費、保守・運用費などの項目が含まれます。
見積もりの算出には、工程ごとの工数を積み上げる方法と、ページ数や機能に応じた一律単価の方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
Webサイト制作の相場は、サイトの規模や内容によって15万円〜500万円と幅広く、適切な見積もりを得ることが重要です。
見積もりを抑えるためには、Webサイトの目的や仕様、優先順位、予算、納期を明確にすることが不可欠です。Webサイトの品質と制作コストのバランスを最適化するために、見積もりの内容を十分に理解し、自社に合った制作方法を選択することが求められます。